レメック地区の生態系は野生動物とその生息する環境、さらにそこに人間がうまく共存するためのサイクルです。野生動物の生態系を崩さないように、人間がその場で生活するシステムが成り立っている地域は、世界でも、ケニア以外にはそう多くありません。
肉食獣が草食獣を襲い、草食獣が新鮮な植物を食べ、植物はマサイ族が放牧のために行う野焼きによって、新たに芽吹きます。最初から野生動物の保護を意識しているものではなく、自然のサイクルの中に組み込まれているのです。
中でもレメックは草食獣が多く、それを追って肉食獣が草食獣を襲い、自然のバランスを保っているのです。その草食獣の繁殖を無意識に助けているのがレメック・コンサーバンシーのメンバーであるマサイ族で、自分たちの放牧する牛のために行う野焼きが、結果的に草食獣の助けにもなっているのです。